交通事故の慰謝料計算で要注意の5つのポイント
交通事故の経験は、多くの方が初めてという方ばかりです。そのため、聞きなれない専門用語や保険会社とのやり取りも分からないことだらけだと思います。ですが、知らないままでいたり、保険会社任せでいたりしてしまうと、本来はもらえるはずの慰謝料や損害賠償金がいつの間にか大きく減額されてしまうことも…。
ここでは、慰謝料について誤解されやすいことや、保険会社の裏側のお話などをお伝えしつつ、損をしないための注意点をまとめました。ぜひ目を通して、せめて慰謝料はしっかりもらえるように気を付けましょう。
目次
1.あなたの過失割合は間違っているかも!?過失相殺に注意!
「過失相殺(かしつそうさい)」とは、損害賠償を決める際に、被害者側にも過失があった場合にその割合分を請求額から差し引くというものです。代表的なものは、自動車事故の場合、信号待ちや路肩停止などで後ろから追突されるのは「10:0」になりますが、お互い車を走らせている時には過失割合が生じてきます。
この時の問題は、加害者側の「保険会社」です。保険会社は、補償を行う会社ですが、支払う慰謝料が少なければ少ないほど、会社の利益は高くなります。そのため、被害者側の過失相殺の割合を多く見積もってくることは珍しくないことなのです。
過失割合を「警察は決めていない」
こちらが素人なのをいいことに、本来「10:0」で満額補償されるはずだったものを「9:1」「8:2」と言われてしまうことがあります。
「過失割合は適切です」
「かなり譲歩させていただいているんですよ」
などと言われたら、そうなのかと不満ながらも受け入れてしまうかもしれませんね。その理由は、警察によって検証された結果だと勘違いしていることが多いそうです。実は、過失割合は、事故の当事者同士で行われたり、示談交渉サービスなどを使って代理人となる保険会社や弁護士同士の話し合いで割合を決めています。
基準となるのは、過去の交通事故の裁判例が基準書にまとめられているので、それを参考にしながら割り出します。
過失割合の参照資料:「別冊判例タイムズ38」「赤い本」 |
過失割合を算出し直すことも可能だが素人には難しい
保険会社が提示してきた過失割合に納得いかなければ、「修正要素」を用いて割合を変更することも可能です。
過去の裁判例とは異なる、あなたの事故状況を修正要素として、点数をプラス・マイナスして算定します。例えば、以下のような要素が減算対象になる可能性があります。
【修正要素の一例】
・夜間
・右折
・徐行なし
・見通しがきく交差点 など
そのため、保険会社が提示する過失割合が、適正ではない可能性も十分あり得るのです。ですが、これを覆すには、「客観的な根拠」を基に、示談交渉を進めていく必要があります。
素人でも、刑事記録の開示を求めることはできますが、理解することも根拠として提示することも難しいでしょう。そこは、交通事故を得意とする弁護士に任せてしまう方が簡単に早く済みますし、「8:2」を「10:0」へ修正することも、自分で行うより確率は高くなります。
2. 主婦(主夫)でも慰謝料や休業損害をもらえる!
慰謝料は、被害者の精神的苦痛に対する賠償金に値するものなので、どんな立場でも請求できるものです。よって、専業主婦でも、兼業主婦でも、主婦・主夫どちらでも支払われます。また請求できる示談金には、精神的苦痛に関する慰謝料以外にも、以下のような請求すべき賠償金があります。
・車の修理代など物損部分の費用 |
主婦(主夫)の休業損害計算
任意保険会社によっては、主婦(主夫)の休業損害を認めようとしない会社もありますが、家事労働は外注すれば費用が発生するものです。きちんと「法律で家事労働と認められている」ので、保険会社の巧みな話術に負けないでください。
【休業損害の計算式】
【1日あたりの基礎収入】 「全年齢女子平均年収」÷365日=1日あたり10,630円 |
自賠責基準と弁護士基準では、1日あたりの基礎収入の金額が変わります。主夫の場合も同様のデータを使い計算をします。
主婦(主夫)の休業日数は判別しにくい
休業日数については、通院日は休業日としてみなされますが、たとえずっと家事ができなかったとしても、すべての日数が休業と証明することは困難です。休業率として、治療期間に合わせて計算する手もありますが、個別判断となるでしょう。
兼業主婦(主夫)の場合は計算が変わる
仕事と家事両方をこなしている場合の基礎収入は、自賠責基準は1日あたり6,100円で変わりませんが、弁護士基準では計算方法が異なります。
弁護士基準では、家事労働と仕事、それぞれの評価額を比較し、高い方で計算します。
主婦としての基礎収入の割り出しは、賃金センサスを使用して、1日あたりの平均賃金を求め、仕事の方は実際の1日あたりの収入で計算してください。
【比較してどちらか高い方を採用】
・主婦(主夫)としての基礎収入→賃金センサス
・仕事→1日あたりの実収入
上記の高い方を休業日数と掛けて計算します。
3.通院頻度が少ないと減額される恐れあり
入通院慰謝料は、通院回数が少なすぎたり、多すぎたりすると問題が生じます。
むちうち症で、他に画像診断などで客観的な所見が見られない場合、弁護士基準で基準とされる赤い本では、以下のように通院期間を短くされる可能性があります。
【通院期間が長期にわたる場合】
“通院が長期にわたる場合は,症状,治療内容,通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。”
引用:民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準
例えば、通院期間が6ヶ月でも、実際に通っていたのは8日だったとします。月に1回か2回しか通っていないのは、「本当に治療が必要なの?」と思われる可能性があります。もしこのケースで、減額された場合は、以下の例になります。
【弁護士基準で減額】
通常:6ヶ月 89万円
減額:8日×3倍=24日 → 1ヶ月に該当するため 19万円
つまり、適度に通っていれば89万円もらえたものが、19万円しかもらえず、70万円も受け取れるはずだった金額を損してしまうことになります。大変なことですよね。
痛みがなく必要を感じないのでしたら、良いかもしれませんが、体が不調なのに、通院できないのは後遺症として残りやすくなる恐れがあります。
仕事が忙しくて休めない・早引きできないなどで、思うように通院できなかったり、病院の診療時間に間に合わないという理由もあると思います。そんな時は、医師に相談し、セカンドオピニオンとして、受付時間の長い、接骨院・整骨院で治療を行うこともおすすめです。
4.頻度が多すぎても減額される恐れあり
医師の指示で頻繁に通院するよう言われた場合や、痛みが強い初期の頃は必然的に通院頻度が多くなることは問題ありません。
ですが、「毎日通院すれば、その分慰謝料が高くなる」と思い込んでいる方もいるのではないでしょうか? たしかに、自賠責基準での通院慰謝料は日数と通院期間で計算しますが、実際は金額が少なくなる方で計算されるため、ある程度の日数でピークを迎え、それ以上の日数は対象外となります。
また、慰謝料の金額が最も高くなる弁護士基準では、そもそも日割り計算ではなく、通院期間で算定しますので、月に10日通っても、30日通っても、もらえる慰謝料は変わりません。
さらに、さほど症状はないのに毎日通院していると、相手方の保険会社から「過剰診療」や「いい加減な通院」と判断され、早期に治療が打ち切られてしまうリスクもあります。
同様に、治療費や通院慰謝料が必要以上に高額になると、自賠責保険でカバーされる上限慰謝料(傷害部分)の120万円を超えてしまい、事故の相手や保険会社がその分を支払う必要性が出てくる為、一気に示談交渉も難しくなってしまいます。
5.保険会社に言われるがままだと損をする!?
「交通事故で散々な思いをしてきたから、せめて慰謝料はしっかりもらいたい!」
そんな方の場合、保険会社が提示してきた金額のままで示談してはいけません。保険会社とあなたは、利害が一致しないからです。
各保険会社の方針や担当者によっても異なりますが、一般的には、あなたではなく、自社(及び担当者自身)が損をしないよう、極力賠償金の支払いを抑えたい、という状況が背景にあります。
しかも、相手は日々仕事として交渉を行なっているプロの保険会社です。はじめての事故で何もわからない素人と、百戦錬磨のプロとの戦いでは、どちらが有利かは火を見るよりも明らかです。
弁護士特約を使って慰謝料をしっかりもらおう
交通事故に詳しい弁護士に付いてもらえば、あなたの利益を最大限守ってくれます。ご自身が加入している自動車保険や生命・医療保険などで、弁護士特約を付けていないか確認してみてください。300万円まで着手金や報酬金額などへ補填できるサービスです。相談への料金も対応されますので、すぐに示談せず、一度相談してみることをおすすめします。
ドリーム接骨院では交通事故に強いサポート体制も充実!
「保険会社とのやり取りに不安がある」「これって私、損してない?」そう感じたら、いつでもご相談ください。当院は、交通事故の取扱件数が非常に多い、事故に強い接骨院ですので、保険事情にも精通しております。治療を行いながら、保険会社とのやり取りなど、ちょっとした困ったことにもサポートも可能です。また、交通事故に強い弁護士を紹介することもできます。
夜間20時まで受付、予約制でゆったりとした時間の中で、体と心の不安を解消していただけましたら幸いです。むち打ち症など、頑固な悩みもお気軽にご相談ください。