交通事故の加害者が保険に入っていない!泣き寝入りせずに済む方法とは?

交通事故

 

交通事故でケガをした場合、病院などへの通院・入院が必要です。車が破損すれば、その修理費用も当然掛かります。ケガのせいで思うように働けず、仕事を休まざるを得ないために、収入が減るケースも多いでしょう。

被害者は加害者への損害賠償請求ができますが、加害者側が無保険だと難しいのが現実です。しかし、被害に遭ったまま泣き寝入りをせずにきちんと請求ができる方法があります。今回は、交通事故の被害者が無保険の加害者に慰謝料や被害金額を請求できる方法を解説します。

 

無保険車とは何か?

無保険車

無保険車は、任意保険や自賠責保険に入っていないため、事故による損害の補償が困難な車です。パターンとしては、「自賠責保険(任意保険)のみ」もしくは「どちらも未加入」の2通りがあります。

無保険車の割合は、4台に1台、約25%との推定もあり、無保険事故に遭遇する危険は少なからずあります。経済的事情から無保険になっているケースが多いため、無保険車が事故の相手になった場合、「(損害に対して)全額償えるだけのお金がない」といった事態に陥りやすい傾向にあります。

 

無保険の事故により起こるリスク

無保険の事故により起こるリスク

無保険車による事故に遭った場合、下記のようなリスクが想定されますので注意が必要です。自分一人での対処は困難なため、第三者に力になってもらって解決するパターンもあります。特に、加害者と直接交渉をする際は十分な注意が必要です。

 

・慰謝料が支払われない可能性がある

・加害者と示談交渉をする場合がある

・物損が補償の対象にならないケースがある

・後遺障害認定を受けられない

 

それぞれのケースについて、解説していきます。

 

慰謝料が支払われない可能性がある

加害者が任意保険にも自賠責保険にも加入していない場合、加害者は慰謝料を支払う能力が低いと見込まれます。慰謝料の分割払いの請求もできますが、加害者と長く関わらなければならず、被害者にとっては大きな精神的苦痛です。

途中で支払いが滞る可能性もあるので、分割払いで全額支払われるのも難しいといえます。加害者が交渉を踏み倒そうとする場合は、内容証明郵便を送ったり示談書を作成したりして、自分の意思をストレートに伝えるのも可能です。

 

加害者と示談交渉をする場合がある

加害者との直接示談交渉もできますが、連絡がしにくくなったり、理不尽な応対をされたりなどのトラブルも想定されます。相手が任意保険に加入していれば、その保険会社の社員との交渉になりますが、自賠責保険の場合はありません。

当事者同士で交渉をする場合、慰謝料や賠償金の相場が双方に分かりにくく、なかなか話が進みにくい場合があります。1対1での交渉は、被害者にはとても精神負担が大きいでしょう。そのため、加害者との直接交渉はできるだけ避けた方が無難です。

 

物損が補償の対象にならないケースがある

治療費・休業損害などの人的被害が大半を占める場合であれば、相手が自賠責保険加入の場合は補償の対象です。しかし、車両の修理費用や代車費用などの物損に関するものは、自賠責保険ではカバーされません。

加害者との交渉が難しいなら、被害者自身の車両保険や対物賠償保険を使うのも有効です。対物賠償保険には限度額が設定されている保険もあります。保険会社に問い合わせて、どの範囲まで補償が可能か確認しておきましょう。

 

後遺障害認定を受けられない

万が一交通事故で後遺症が残った場合でも、適切な後遺障害認定が受けられずに苦しむ被害者もいます。任意保険に加入していれば、保険会社が後遺障害認定の手続きを進めてくれるので、被害者は後遺障害慰謝料の受け取りが可能です。未加入だと、加害者が加入する自賠責保険の会社に自分で請求をして、障害の程度で認定された等級を受けるしかありません。

被害を受けて心身ともにダメージを受けた被害者にとって、さらに精神的負担がかかるリスクがあります。もし上手くいかない場合は、最終措置として政府保障事業の利用も検討しましょう。

 

無保険の加害者に慰謝料請求をするには?

慰謝料

相手が保険に入っていない場合にも、下記のように慰謝料を請求できる方法はあります。できるものから調べて行動に移せば早期解決につながるので、泣き寝入りをしないためにも早めの行動が大切です。専門の相談窓口や弁護士などの力を借りれば、解決の糸口が見えてくるでしょう。

 

・加害者に直接請求する

・人身傷害保険や搭乗者傷害保険を使う

・加害者の関係者に請求する

・労災保険を使う

・政府保障事業の利用

 

それぞれのパターンについて解説していきます。

 

加害者に直接交渉をする

相手が自賠責保険に入っていれば、そちらの保険会社に慰謝料や賠償金を請求できます。しかし、自賠責保険に未加入なら直接交渉をするのが一般的な流れです。もしも相手が任意保険にも入っていないのであれば、さらに交渉が難航する恐れがあります。

加害者がどうしても交渉に応じない場合、内容証明郵便を送って意思を示しましょう。示談交渉がまとまっても相手が踏み倒そうとしてくる場合、公正証書として示談書を作成します。示談書を作成する際は、弁護士に相談するとスムーズな作成が可能です。

 

被害者自身の加入している保険を使う

加害者に慰謝料を支払えるだけの資力が見込めないなら、被害者自身の保険を使うのも有効です。人身傷害保険・搭乗者傷害保険を使えば、被害者自身や同乗者の死傷についての補償が受けられます。

人身傷害保険は、医療費や休業損害などの人的被害に対して保険金が支払われます。搭乗者傷害保険は、死亡保険金・後遺障害保険金・重度後遺障害保険金・医療保険金が対象です。保険会社に詳細を問い合わせて、適切な補償を受けられるようにしましょう。

 

加害者の関係者に請求する

加害者に支払い能力がないと見込まれる場合は、運行供用者(事故車の車両管理者、車両運行の責任者、加害者の会社)に対しても交通事故の賠償金請求が可能です。もしくは、運転者(加害者本人)・運行供用者に半々ずつの請求もできます。

どちらに請求するべきか不明な場合は、交通事故問題に詳しい弁護士に相談しましょう。もしも示談が成立せずに裁判となった際は、被害者はどうすべきか弁護士に質問しつつ準備を進めるのが大切です。

 

労災保険を使う

勤務中に見舞われた交通事故の場合、労災保険が適用可能です。労災保険では、事故の負傷に対する治療費や事故で仕事ができなかった分の休業損害が補償されます。労災保険で後遺障害に認定されると、等級に応じて一時金や障害年金が支払われます。

ただし、自賠責保険と労災保険の支払金は同時に受け取れないので、注意が必要です。同じ事故でも、自賠責保険と労災保険によって受け取れる金額に違いが出る場合があります。

労災でない場合は、健康保険を利用して治療費の負担軽減が可能です。

 

政府保障事業の利用

政府保障事業の制度は、交通事故の被害者が最低限受け取れる自賠責保険の補償もない場合に利用できます。交通事故加害者が無保険の場合なら、その事故の被害者が主な対象です。

最終的な政府からの救済措置なので、支払いには4ヶ月〜半年程度の時間がかかります。被害者に少しでも過失があると減額される厳しい仕組みです。政府保障事業を利用するなら、事故の怪我による入院・通院費や休業損害の証明書など、さまざまな資料を揃える必要があります。

 

弁護士費用特約の利用も視野に入れよう

弁護士に相談する

事故相手が無保険の場合、示談交渉や裁判についても弁護士に相談・依頼できます。ただし、依頼費用が高額で交渉が成立しても受け取り金額が減る可能性があるので、依頼には慎重な検討が大切です。

弁護士費用特約を使えば、弁護士報酬や訴訟依頼は300万円、相談費用は10万円が限度で補償されます。自動車事故で損害賠償請求を弁護士に依頼したい場合に使えて、被害者が受け取れる金額が赤字になるのを防げます。この特約を使うには、保険会社からの承諾が必要です。

 

交通事故被害者もしっかりと被害額請求ができる

もし交通事故の被害にあっても、「加害者が無保険だから慰謝料請求はできない」と思って泣き寝入りしなくても大丈夫です。被害者自身に見合った請求方法は、必ず見つかります。

加害者本人との直接交渉や被害額の請求の仕方に関して不安があれば、一人で悩まずに弁護士や交通事故被害者ホットラインなどの専門機関への相談も検討しましょう。もしくは、自分の加入している保険会社に相談して、どのぐらいの範囲で補償が受けられるか問い合わせください。