むち打ちの症状はいつから出るの?(交通事故編)

首が痛い女性

むち打ちは、追突事故や交通事故などの後で、よく起こる症状です。事故直後には、自覚症状がない場合も多く、後になってから痛みに悩まされる方が多くいらっしゃいます。

事故から、数日たったある日。
頭痛やめまいがして、首を動かせられないくらいの痛みがある。または、直接関係なさそうな手首や足、腰にまで、痛みや痺れを感じるなど、症状は様々。

「この痛みは、もしかして事故のせい?」
「これは『むち打ち症』の症状では?」

と、不安になっていませんか?

そこで今回は、むち打ちの症状がいつから出るものなのか、なぜすぐに痛みが出ないのか、症状が出たらどうしたらいいのかなどを詳しくお話していきます。

 

 

むち打ちの症状はいつから、何日後から出る?

考える女性

むち打ちは、事故の直後から数日後~数週間の間で、現れることの多い症状です。だいたい2週間以内で症状が出揃います。

車に傷ができない程度の、軽い追突事故でも、後になってあちこちに症状が出てくることも珍しくありません。

そのため、「目立った怪我や痛みはないから、いいや」と、医療機関に行かずに過ごしてしまう方も多いのです。ですが、自覚症状がないからと動いて、体に負担をかけてしまえば、後々体の状態を悪化させる場合もあります。

 

また、交通事故から時間があきすぎると、事故との因果関係が不明確になり、損害賠償請求にも関わります。そのため、必ず事故に遭ったら早めに整形外科や整骨院に受診しておくことをお勧めします。

 

 

なぜ、すぐにむち打ちの症状が出ないの?

交通事故の直後、人は興奮状態になります。恐怖を感じたり、体が強い衝撃を加えられたりすると、交感神経が優位になり、脳内ではアドレナリンやβエンドルフィンという強力な鎮痛作用を持つホルモンが分泌されます。その結果、事故直後は痛みを感じにくくなるのです。

 

これが、数日時間が経過すると、興奮状態が落ち着いてきて、ホルモンの分泌が減少することで、突然痛みを感じるようになるというメカニズムです。

 

 

むち打ち症状とはどんな痛み?5つの分類

むち打ち症は、手足の捻挫と近い痛み発症の仕組みがあります。
痛みの度合や症状は、骨周辺の組織や靭帯、神経の損傷具合により、個人差があり、痛みや不調を感じる部位もさまざまです。

むち打ち症は主に5つの型に分類されます。

 

むち打ち症の代表的な症状5つ

 

1.頸椎捻挫型

症状:頭痛、首や肩の痛み、首がどの方向にも動かせられない

むち打ちの7割~8割がこの症状といわれています。手足の捻挫と同じ原理で、頸椎を支える筋肉や靭帯などの、骨周辺組織が損傷していることで痛みが起こります。

 

2.バレリュー症候群

症状:頭痛、めまい、吐き気、動悸、全身倦怠、眼精疲労、耳が聞こえにくい、耳鳴り

外傷がきっかけとなる、自律神経失調症状です。交感神経の興奮状態が落ち着かず、リラックスする副交感神経とのバランスが崩れていると考えられています。

 

3.神経根症状型

症状:腕や肩、指先などへ痛みや痺れが出る、首の痛み、力が入りにくい、知覚障害

脊髄から出ている神経根が圧迫されたり、損傷したりすることで起こります。

 

4.脊髄症状型

症状:腕・指先・足などへの痛みや痺れが出る、知覚障害、運動障害

脊髄自体が損傷して起こります。加齢などを原因として脊髄が圧迫されていた場合、事故がきっかけとなり症状が現れる場合もあります。この型は現在では、むち打ち症の類型には当てはまらず、「脊髄損傷」として考えられています。

 

5.脳脊髄液減少症

症状:頭痛、首の痛み、めまい、倦怠感、耳鳴り

脳脊髄液腔から髄液が、硬膜外に漏れ出ることで、髄液が減ってしまい、立ち上がり時に脳が下方へ引っ張られることで、頭痛を主としたさまざまな症状が起こります。ただ現時点では、発症する仕組みや原因に不明点が多く、確実にこの症状を診断する方法はないとされています。画像診断で「疑いが高い」と判断された場合、治療を行い、効果があれば確定診断とされています。

 

 

 むち打ち症の診断名、正式名称は何?

むち打ちは、衝突の衝撃や急停止により、首が大きく振られて「むち」のようにしなることからついた一般的な呼び方です。正式に診断書に記載される名称は、以下のように記載されます。

 

・頸椎捻挫(けいついねんざ)
・頸部捻挫(けいぶねんざ)
・頸部損傷(けいぶそんしょう)
・頸部挫傷(けいぶざしょう)
・外傷性頸部症候群(がいしょうせい けいぶしょうこうぐん)

日本整形外科学会HPより)

 

 

少しでもむち打ちの症状があれば、早めに医療機関へ

 

先にも記述しましたが、事故に遭ったら痛みがない場合でも、早めに病院や整形外科へ受診しておくことをお勧めします。レントゲン撮影だけでなく、脊髄・神経根圧迫などの詳細が確認しやすいMRIも撮影しておくと良いでしょう。

 

「それほど痛みがある訳ではないし」とか、「病院は混んでて時間を食うから嫌だ」と、受診を避けたり後回しにしたりする方もいらっしゃいますが、あとで後悔しないためにも、早めに受診しましょう。

 後日、自賠責保険などからお金をもらうためには、医師の診断書が必須となります。その際、「初診日」が重要なポイントで、日にちが経ってから病院などを受診すると、「本当に事故からくる症状なのか」と疑われて、保険がおりなくなる可能性があるからです。

 

 

放置はNG!むち打ち症は「後遺症」のリスクが…

 

むち打ち症は、早期に適切な治療を行わないと、長期的に後遺症に悩まされることが多い症状です。放置しておくと、痛みや不調と何年にも渡って付き合うことになりかねません。

 

集中力の低下や気分の落ち込みで、仕事や日常生活に支障をきたしたり、気圧や温度の変化で、さまざまな不調を感じて苦しんでいたりする方々が、実はかなりいるのです。それほど、首回りは脳と体を結ぶ多くの神経が通っていて、デリケートな部位なのです。

 

むち打ちは、初期段階の頃から集中的に治療を行い、後遺症を残さないよう体を整えていくことが大切です。

 

 

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