軽い追突事故で「むちうち」症状が出てきたら
「むちうち症」は、交通事故の1~3日後などに、首の痛みや体の不調が表れることがよくあります。
・信号待ちや渋滞中に低速度で追突された
・雪で路面が滑った車に後ろから追突された
など、車には大きなキズや凹みが見られない軽度な追突事故でも、むちうち症は起こります。
交通事故の場合は、自賠責保険などから治療費を支払ってもらうのが通常の流れです。ですが、こうした軽い追突事故だと、保険会社や相手方に痛みや不調を理解してもらえず、「嘘」だと疑われたり、治療費を打ち切られてしまうケースもあるのです。
そんなことにならないよう、軽い事故でむち打ち症状が出てしまった場合、どんなことを知っておくべきかご紹介していきます。
目次
そもそも「むちうち症状」とは?
「むちうち症」とは、自動車の追突事故などの衝撃によって、首に受けた損傷により現れる様々な症状の総称です。首がムチのようにしなることから、「むちうち」と呼ばれています。医師による診断書では、「頸椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」などと記載されます。首周りの痛みやシビレ、コリなどの症状だけでなく、頭痛、めまい、不眠症、腕のシビレ、足の痛みなども生じる場合があり、人によってその症状は様々です。
むちうちは時速20kmの追突事故でもなり得る
むちうち症状は、相手の車の速度が遅くても起こります。後ろからばかりではなく、横からの追突事故でも同様です。
「自動車技術会論文集」でのデータでは、追突事故での負傷者の9割は、頚部に損傷を追っていると言われています。軽傷・重症共に、衝突回避を行った速度が時速10km以下の傷害者が最も多く、次いで11~20kmとなっています。
ではなぜ、低速でもむちうち症状が表れるのでしょうか。それは、首が頭を支える構造にあります。
頭は体重の10%の重さがあると言われており、体重50kgの女性なら約5kg。ボーリングの玉で例えると、女性向けで一番大きい11ポンドの重さになります。首は、この頭の重さを、細い積み重なった7つの骨と筋肉だけで支えている状態です。
コツンと軽く後ろから追突された時、その衝撃で身体は前に押されますが、重たい頭が残され、後ろに大きくしなります。そして、反動で今度は頭が前へ伸びていきます。
この間に、首を支える筋繊維が細かく切れたり、傷ついてしまうのです。この「しなる」動きは、細くて繊細な構造の首だからこそ起こると言えるでしょう。
そのため、むちうち症は、追突された時の速度が20km以下と低速でも、十分発症する痛みなのです。
軽い追突事故だと、加害者側の保険会社から「むちうち」は嘘だと疑われる?!
追突をされたら、「治療費は相手の保険会社から、治るまで支払われるはず」と、当然考えますよね。ですが、思ってもいない落とし穴が、追突事故にはあるのです。
「本当に首が痛いんですか?嘘をついているんじゃないですか?」「もう治ったでしょ?」などと、相手側の保険会社から言われ、面食らってしまうかもしれません。
本人は、痛くて早く治したいだけなのに、ちゃんと向き合ってもらえないどころか、嘘つき呼ばわり。すぐにでも保険を打ち切ろうとしているかのようで、辛さが余計に募りますよね。
軽い追突事故によるむちうちが嘘だと疑われやすい理由・事情
なぜ、このような理不尽なことが起こりやすいかというと、次のような事情が関係しているようです。
痛みの根拠が自覚症状しかないか
まず、むちうち症は、レントゲンやMRIなどの画像検査で原因を確認できるケースが少ないため、医学的な根拠を証明しにくい特徴があります。痛みの根拠は、本人が感じている自覚症状だけ。
追突事故当日より、後から症状が出やすいか
追突事故に遭うと興奮状態になり、痛みを感じにくくするアドレナリンなどのホルモンが出ます。そのため、事故直後はむちうち症状が出ず、事故当日に医療機関を受診しなかったり、もしくは受診しても「症状がない」と医師に伝えてしまい診断書にもそう記載されてしまったが故に、疑われてしまうケースです。
「軽い追突ぐらいではならない」という思い込みか
前述したように、軽い追突でも、むちうち症状は起こりえます。ですが、車に大きな傷も付かない程度の事故では、たいした衝撃ではないと思われ、「こんなことぐらいで、むちうちになるだろうか」「通院期間が長すぎないか」と怪しまれてしまうのです。
保険会社は費用をできるだけ払いたくないから
保険会社からすると、できるだけ治療費や慰謝料を抑えた方が、自社の出費を減らせます。ですから、少しでも治療期間を短く抑えようと、治療の打ち切りを伝えてくることがあるのです。
保険金詐欺をしようとする人が実際にいるか
残念ながら、実際に嘘をついて保険金を騙し取ろうとする人も中にはいます。そのため保険会社は、そうしたリスクを回避するためにも、疑ってかかるケースがあります。
いずれにしても、本当に痛くて困っている時に、自賠責保険が適用されなかったり、治療を打ち切られてしまったら、たまったものではありませんよね。
疑われないために必要な、医師へのむちうち症状の伝え方
むちうち症状は、あなたの自覚症状が診断の頼りです。保険会社に疑われないためにも、医師に具体的に症状を話し、検査を受け、むちうちが「嘘」ではないこと明確にしましょう。
医師の前だと緊張して上手く話せないという方もいらっしゃると思います。話の順序を組み立てやすくなるので、メモにまとめるのもおすすめです。
・事故の状況
・痛みが出る箇所
・痛みの程度
・常に痛いのか など
客観的な形で話すと伝わりやすくなりますので、ぜひ、お試しください。
一般社団法人JA共済総合研究所の資料では、むちうち症状の治療期間の統計データが出ています。
むち打ち損傷の治療期間を報告した論文の一覧
サンプル数:784
平均治療期間:入通院患者全体73.5日(中央値49日)
治療期間 | 累積治癒率 |
1か月以内 | 39.8% |
2か月以内 | 57.1% |
3か月以内 | 71.1% |
4か月以内 | 80.0% |
5か月以内 | 85.7% |
6か月以内 | 90.3% |
(注)累積治癒率は論文のデータをもとに算出した。
(参考:『交通事故による いわゆる“むち打ち損傷”の治療期間は長いのか ―損害賠償を含む心理社会的側面からの文献考証―』 P103 一般社団法人 JA共済総合研究所)[RR2]
損傷を受けた状況や症状の度合にもよりますが、上記のデータから見ても、治癒の早さは個人差があるので「2~3カ月」というのは、一律ではなくあくまでも目安として捉えた方が良いでしょう。
3カ月経つと打ち切りを迫られることも
ある程度治療期間が進むと、保険会社からは「もう3カ月経ったのだから、もう症状固定でしょう」などと打ち切りを告げられることが多くなります。この時、まだ痛みがある場合は、すぐに保険会社に従うことはしないでください。症状固定の診断は医師がするものだからです。
追突事故によるむちうちの慰謝料・相場はいくら?
追突事故など、交通事故で負傷を負った場合は、相手側へ慰謝料を請求できます。
請求できる主な金額は以下の通りです。
種類 | 内容 |
治療費 | 病院・接骨院などでかかった費用 |
通院費 | 通院のためにかかった費用(ガソリン代・タクシー代なども含む) |
休業損害 | 治療のために休業したことで損失した収入の補償 |
入通院慰謝料 | 通院・入院による精神的損害に対する慰謝料 |
自賠責基準のむちうち慰謝料 |
4,300円×治療日数* ※令和2年4月1日以降で起こった交通事故の計算 |
人身事故扱いでないと保険が効かない
交通事故証明書の発行内容が「物損事故」として記録されている場合があります。慰謝料は「人身事故」の届出がされていないと請求できませんので注意が必要です。「照合記録簿の種別」の項目が、人身事故になっていることを確認しておきましょう。
届出が「物損事故」になっていたとしても、保険会社に「人身事故証明書入手不能理由書」を提出することで、人身事故へ切り替えができ慰謝料が支払われるようになります。
追突事故によるむちうちの治療は整骨院へ
むちうち症状は、長引くほど精神的負担が大きくなる損傷です。
また、「加害者に対する怒り」が強いほど治りにくい、という調査報告もあります。
(参照:運動器の健康・日本協会)
ですから、ドリーム接骨院では、交通事故治療の専門家として、患者様の1番の味方になって心も体もケアできるようサポートいたします。
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