軽い交通事故で「人身扱いにしないで」と言われた時の対処法

ちょっと、こずかれただけ、お互いに軽く当たっただけで、大きなケガも無いような軽い自動車事故の場合、「物損事故でお願いできないですか?」や「人身扱いにしないで」と頼まれることもあります。また、警察からも「人身と物損どちらで処理しますか?」と聞かれることもあるでしょう。

一見ケガをしていなくても、「むち打ち症」は後から出てきて、思ったよりも生活に支障がでるケガとなります。被害者側からしたら、物損事故にしてしまうとデメリットしかありませんので、注意が必要です。

「もう物損事故にしてしまった」という方も、切り替えが可能ですので、ご参考にしていただければ幸いです。

 

交通事故で加害者から「人身扱いにしないで」と言われる訳

理由

そもそもどうして、人身扱いにしたくないのでしょうか?まず、交通事故の区分には、2通りあります。

・人身事故人に損害が生じる事故(物の損害も含まれる)
・物損事故物の損害に限定している(人はケガをしていない)

交通事故を起こしたら、警察に届出をする義務があります(道路交通法72条1項)。その際に、「人身事故と物損事故どちらにしますか?」と聞かれることもあります。

この時、物損事故にすると、加害者側はかなり支払いや責任の負担が減ることになるのです。

では、人身扱いにしないと、加害者側にはどんなメリットがあるか見てみましょう。

①:免許の違反点数が加算されない

人身扱いにした場合は、必ず免許の違反点数が加算され、免許停止処分免許取り消しなどになる場合があります。

一方、物損事故になれば「加算なし」となるのです。そのため、加算されることを免れるため物損事故にしたいと要求してくるケースが多くあります。

物損事故の場合でも、道路交通法違反では加算される

②:刑事罰・罰金がない

人身扱いでは、過失運転致死傷罪危険運転致死傷罪などの刑事罰が科されることがあり、罰金も生じますが、物損事故では、刑事罰・罰金刑はありません

③:賠償金額が低額ですむ

物損事故になると、物に対する補償だけになります。そのため、多くの場合は車両の修理代だけの支払いで済むようになるのです。

高級車を買い替えるようなことになると、高額な賠償金となりますが、一般的に人身扱いよりは安く抑えられます。

一方で、軽い事故だとしても、人身扱いになると、肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料や治療費、物の損害費用なども支払うことになるので、避けたいという心理があるのでしょう。

④:示談交渉が短期間で済む

車の修理代だけを補償すればいいので、修理が完了次第、すぐに示談交渉に移行できます。これが人身扱いになると、ケガの完治や症状固定になるまで、長期間待たなくてはいけません。早くて1ヶ月、長いと半年や年単位にもなります。

実際のやり取りは、保険会社を通すケースがほとんどですが、被害者との面倒な関りを早く終わらせることができるということです。

これらをみると、なぜ物損事故にしたいのかが分かります。

すでに物損事故で得をしたことがある「事故慣れ」の人や、事情に詳しいタクシー・トラック運転手なども、要求してくる可能性が高いかもしれません。「職場でペナルティになってしまうんです」などと頼まれることがあります。軽い事故なのに、免許の違反点数が加算されたら可哀そうと同情心が出るかもしれませんが、後で困るのは被害者だけになりますので気軽に応じないことをお勧めします。

 

人身事故・物損事故どちらになるかは誰が決める?

人身事故か物損事故か判断する女性

その場でケガをしていたら、紛れもなく「人身事故」となりますが、かといって、物が壊れていたら単純に物損事故となる訳ではありません。

誰が決めるのか?というと、誰とは明確に決まっていませんただ、事故が起こった際に警察に「人身事故で」と言うことで、人身扱いになる可能性もあるため、被害者の声は優先されると考えます。

そして、その場では物損事故となったとしても、被害者が病院に行き、ケガの診断書が出れば、それをもとに後で、警察に人身事故として申請も可能です。

人身扱いに切り替えるならいつまで?

切り替えができる期間は、特に定められていませんが、人身事故に切り替えると、警察は再度「実況見分」を行い、事故状況を詳しく調査を行います。そのため、あまりに遅いと受け付けてくれなくなる可能性もあるため、早めに手続きをすると良いでしょう。

 

交通事故で人身扱いにしないと示談金はどうなる?

首を傾げる女性

被害者には、後からケガの症状が出てくる可能性を考慮すると、物損事故にするメリットは一つもありません。それだけではなく、デメリットもかなり不利なものばかりになります。

治療が長期化するほど、被害者側には負担となることです。人身事故扱いの慰謝料は、ケガの程度や治療期間で受け取れる金額が変わってきますし、弁護士を通しての請求なら飛躍的に高額になります。

それが物損事故では、「物」に対する補償しかないため、病院へ治療に通った治療費や、仕事を休んだ場合、本来仕事を続けていたら得られたはずの休業損害や精神的な苦痛に対する慰謝料などの補償も、一切もらえません

また、保険会社から「治療費の補償はするから、人身扱いにしないでほしい」と交渉された場合でも、物損事故にしていると、ケガの程度が軽いとみなされ、病院での治療も早々に打ち切られたり、後遺症の認定も受けられない可能性もあるのです。

自賠責保険が使えなくなる

車を所有する際に、必ず入る強制保険ともいわれている自賠責保険は、対象が人の損害となっています。そのため、物損事故にしてしまうとこの保険が使われません。

そのため、治療費は自己負担ですし、後遺症が残ったとしても慰謝料は支払われないので注意してください。

また、自賠責保険が使えないリスクとして、加害者側が任意保険に加入していない場合、車両の損害額すら支払われない可能性も出てきます。人身事故の場合、加害者に支払い能力がない場合、車の持ち主やレンタカーの貸主などの、運行共有者にも損害賠償を請求できますが、物損事故ではできないため、損害金を回収できないリスクが潜んでいます。

 

物損事故から人身事故に変更する方法

提案する女性

すでに物損事故と記録されていたり、警察が人身扱いにしてくれなかった場合は、以下の手順で届出を出すことで切り替えが可能です。

①病院で医師に診断書を作成してもらう
②事故現場を管轄する警察署に「人身事故切り替え」を届ける
③必要書類を加害者側の保険会社に提出する
④解決できなければ弁護士に依頼・裁判を起こす

まずは、病院に行き、ケガをしていることへの証明を取りましょう。医師には、診断書の中に、事故との因果関係・事故日・初診日・治療期間を必ず記載してもらうように頼みます。

そして、現場検証を行うため、事故現場を管轄する警察署へ「人身事故切り替え」の届出をします。切り替え手続きは、担当の職員が行うため事前に予約を取っておく必要がありますので交通捜査係に連絡を入れましょう。

警察への届けに必要なもの

・診断書
・事故車両(修理などで持参できない場合は、破損箇所とナンバー入りの写真)
・運転免許証
・車検証と自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険の証明書)
・印鑑(シャチハタやゴム印は不可)

「事故証明書」を手に入れたら、コピーして保険会社に連絡・提出します。もし、警察で届出が受理されずに、事故証明書が発行できなかった場合は、「事故証明書(人身事故証明書入手不能理由書)」を提出します。この書類は、事故証明を出せない理由を説明するもので、保険会社から取り寄せをして、自分で書き込む書類です。

加害者が人身扱い切り替えを拒否したら

人身事故に切り替える際は、警察は、刑事事件として切り替えて捜査するので、被害者と加害者側の両方から、詳細を聞く必要があります。なので、加害者にも警察署に来てもらいますが、加害者が非協力的でも切り替えの手続きを行ってくださいもし、加害者が来ないことで、警察に切り替えを受け付けてくれない場合は、弁護士を通すことで認められる場合もあります。

 

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